こんにちは!TONAです。
今回紹介するのは、「影響力の武器 実践編」です。
副題は、「イエス!」を引き出す60の秘訣。
本サイトで、「影響力の武器 なぜ、人は動かされるのか」が
かなり好評なので、続編として要約していきたいと思います。
約1年間ほど、このサイトを運営して
「影響力の武器」は、
サイドメニューのPopular Postsでは、今のところ第2位を記録している最中です。
結構なロングセラー記事なので、気合を入れての続編ですね。
今回は厳選して次の3つに絞って紹介していきたいと思っています。
・ 選択肢が多いと買う気が失せる
・ 面接は、最後に受けよう
・ バットリングと知覚コントラストの関係
では、行ってみましょう!
選択肢が多いと買う気が失せる。
社会科学者のシーナ・アイアンガーの研究チームによると、
約80万人の被雇用者を対象に、
企業が出費している退職金制度を分析し
ファンドの選択肢の数に応じて
「加入率」がどう変わるか調べました。
案の定、選択肢が多いほど従業員の退職金制度加入率は下がりました。
どうやら、これは会社が用意した”選択肢が多いこと”が
加入する意欲を失わせているのでしょう。
アイアンガーの同僚のマーク・レバーは、
選択肢が多すぎると逆効果になるという現象が、
食品などの分野でも起きるかを調べました。
高級スーパーマーケットに2ヶ所の試食コーナーを設けました。
1ヶ所には、6種類のジャム、
もう1ヶ所には、24種類のジャムを置いてきました。
すると、これら2ヶ所で売上に大きな違いが見られました。
選択肢が豊富なほうのコーナーでは、立ち寄った人の
3%しかジャムを買わなかったのに対し
選択肢が限られたほうのコーナーでは、
30%もの人が買ったのです。
なぜ、売上に10倍もの差が出たのでしょうか?
研究者の見方では、あまりに選択肢が多すぎると
それぞれを差別化するのが負担になり、
決断を下すのが煩わしくなってしまうからです。
客は、選ぶ面倒を避けようとして
商品全体に対する「購買意欲」も「関心」もなくしてしまう。
これは、選択肢の絞り込みで
「決定回避の法則」が働いていますね。
本サイトの以下のページで要約しています。
大手消費財メーカーのプロクター・アンド・ギャンブルは、
洗濯洗剤から処方箋まで幅広い商品を揃えていましたが、
26種類あった売れ筋のシャンプーを、”15種類”に絞ったことで
あっという間に売上が、10%も伸びました。
選択肢を減らせば、商品の在庫の保管場所の余裕ができたり、
原材料の調達費用が減り、
マーケティングや販売促進に必要な戦略の少なくて済みます。
著者は次のように最後に〆ています。
是非品揃えを見直し、自分に問いかけてください。
「もし顧客が自分に何が必要か分かっていなかったら、
選択肢が多すぎて他社に顧客を奪われないだろうか」と
面接は、最後に受けよう。
このサイトを閲覧している人は、学生のかたでしょうか。
それとも、ビジネスマンでしょうか。
はたまた経営者のかたでしょうか。
誰でも面接の「採用試験」を受けた覚えがあると思います。
その採用面接の”順番”が合否に影響しているのでしょうか。
誰かと競い合う場面で、最終候補の4人に選ばれた場面で
どういう風に振る舞えばいいのでしょうか。
非常に参考になる面白い事例があります。
コロンビア大学のビジネススクール教授のアダム・ガリンスキー博士は、
シカゴ大学で、とても素晴らしい職に就くチャンスを得ました。
シカゴ大学の選考委員会は、
彼の希望に沿って”面接の時間”を設定してくれると言いました。
当日シカゴに現地入りして、最初の一人として面接を受けるか
それとも、最後のほうの順番で面接を受けるか。
運任せにしたくないガリンスキー博士は、
プリンストン大学の同僚(とても優秀な心理学者たちです)に
意見を尋ねて回りました。
誰に訊いても、意見は同じでした。
「一番で面接を受けなさい」
この根拠は”初頭効果”というのがあります。
ところが結果は残念なことに「不採用」でした。
これは、ガリンスキー博士の中にしっかり記憶に残り
もっと調べてみようという気持ちになりました。
その結果驚くべき事実を発見しました。
ガリンスキー博士は、プリンストン大学の雇用記録の
閲覧許可を取った後、
過去5年間に実施された面接のいくつかを無作為に拾いました。
そのほとんどで、最後に面接を受けた人が採用されたことが
分かりました。
調査の範囲を広げましたが結果は同じでした。
ユーロビジョン・ソング・コンテストの
1957年から2003年分を調べたある分析です。
大会で演奏順が”後ろ”のアーティストは、
演奏順が早いアーティストより良い成績を収めていました。
同様の結果は「アメリカン・アイドル」や「Xファクター」という番組にも
当てはまるようです。
これは、2つの影響があると本書では考察されています。
ひとつは、最初のほうの参加者に高い点数を与えてしまうと
その後もっとよいパフォーマンスがあった場合、
評価に差をつける”余地”がなくなってしまうというものです。
もう1つの考察は本書をご覧になってください。
日本を例に挙げると
「欽ちゃんの仮装大賞」などがこれに当てはまるかも知れませんね。
バットリングと知覚コントラストの関係
スポーツでも説得力アップの役立つ教えを得ることが出来ます。
例えば、野球の試合では
打者が素振りの前に、
バットにリング状のウェイトの重りをつける場面を見かけます。
選手によると、重たいバットで繰り返し素振りをしていると
実際のバットでは軽く感じられるとのことです。
これは、社会科学では知覚コントラストの原理として説明することが出来ます。
知覚コントラストの基本原理
ものの性質は周囲から孤立して認識されるわけではなく、
他との対比で認識されるということです。
「相対性」に関して以下のページで要約しています。
【要約・感想】予想どおりに不合理 / 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」【ビジネス書・徹底考察】10キロのウェイトを持ち上げるように言われた場合、
先に20キロを持ち上げた後なら軽く感じ、
5キロを持ち上げてからだと重く感じるはずです。
10キロのウェイトに変わりありませんが、
それに対する知覚(感じ方)が違うのです。
この心理的プロセスはあらゆる判断に応用できると
著者は説いています。
どのような場合でもパターンは一緒です。
つまり、
最初の経験が、次の経験に対する知覚を決定するのです
とても面白い実験があります。
社会心理学者のザカリー・トーマラとリチャード・ペティは
知覚コントラスト効果が、”説得力”にどのように影響するかを調べました。
具体的には自分の持っていると思う情報の量が、
他の事柄について得た情報の量にどう影響するかを実験しました。
少し難しいですね^^;
ブラウンズという架空のデパートを紹介するメッセージ
(ターゲット・メッセージ)を読みますが、
まずその前に、スミスという別の架空のデパートに関するメッセージ
(先行メッセージ)を読まされます。
実験参加者が読んだターゲット・メッセージはすべて同じもの、
ブラウンズの3つの売り場に関する内容でした。
しかし、スミスに関する情報量の少ない(1つの売り場についてのみ)ものから、
多いもの(6つの売り場について)まで、差をつけました。
先行メッセージの情報量が多いと、
ターゲット・メッセージは説得力に欠けるとみなされて
ブラウンズの好感度は低くなり、
先行メッセージの情報量が少ない場合には、
好感度が高くなりました。
つまり、実験参加者はスミスについてあまり知ることができなかった後では、
ブラウンズについてよく分かったと感じ、その逆もまた然りというわけです。
著者は、まさにこれが「知覚コントラスト」の効果だと
述べています。
例えば、ISETANと高島屋を比べる場合、
情報量の少ないほうを先に宣伝すると、
後の比べる他方の印象が良くなるという原理です。
ISETANを際立せたい場合に、
高島屋の情報を極力少なく見せると
ISETANの存在が大きくなる、
ISETANの好感度が良くなる
というイメージですね。
日本のCMではあまり差別化はされませんが
アメリカのペプシコーラとコカ・コーラの両社の
競争はとても激しいですよね。
まとめ
影響力の武器の実践編を要約してみました。
本書では、
今回紹介した3つを加えて60個に及ぶ影響力の実践編が
紹介されています。
実際に影響力を行使しているので読んでいて
清々しい気分になりますよ。
皆様も本書で、その影響力を与えてみてください。