こんにちは!TONAです。
今回紹介するのは、「予想どおりに不合理」です。
副題は、行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
著者は、ダン・アリエリーさんです。
行動経済学は、「判断・意志決定科学」とも呼ばれ
心理学と経済学を融合させた比較的新しい分野です。
本書では、著者のダン・アリエリーさんが
さまざまな「実験」をして人間の行動について分析しています。
そして「実験で明らかになった人間の行動の原理が
自分の人生にどうかかわるか、読者であるあなた自身が考えてみる必要がある。
実験によってあきらかになった原理によって、
自分の人生がよくなったり悪くなったりするのだろうか。
人間性について、新たに理解したことで、何か違ったやり方ができるだろうか
そこに、本物の冒険が待っている」
本書の「はじめに」で私たちに、こういう問いかけをしています。
当サイトでは、
🔹相対性の真相
🔹ゼロコストのコスト
🔹性的興奮の影響
に絞って紹介します。
行動経済学 【 相対性の真相 】を要約
「エコノミスト誌」の3択
イギリスのインターネットの「エコノミスト誌」の3択がある。
①、ウェブ版だけの購読(59ドル)
②、印刷版だけの購読(125ドル)
③、印刷版とウェブ版のセット購読(125ドル)
これを、マサチューセッツ工科大学(MIT)の院生の100人に選ばせた。
①、ウェブ版だけの購読(59ドル)———–16人
②、印刷版だけの購読(125ドル)———–0人
③、印刷版とウェブ版のセット購読(125ドル)———-84人
次に、こういう2択にする。
①、ウェブ版だけの購読(59ドル)
③、印刷版とウェブ版のセット購読(125ドル)
すると、
①、ウェブ版だけの購読(59ドル)——-68人
③、印刷版とウェブ版のセット購読(125ドル)————-32人
という、結果になる。
例えば、初めての町で家を買うとする。
不動産会社が見せてくれた3つの物件はどれもなかなか良さそうだ。
1つは現代風の建物、あとの2つはコロニアル様式の建物。
3つともほぼ価格は同じで、どれも同じくらい気に入る。
唯一の違いは、片方のコロニアル様式(おとり)だけ屋根を新しくする必要があり、
それにかかる余計な出費を相殺するために所有者がすでに数千ドル値引きしている。
あなたなら、どの家を選ぶだろう。
現代風は選ばず、屋根の修理が必要なコロニアル様式も選ばないではないだろうか。
私たちは、比較をもとにして物事を決める。(相対性)
この3つの物件の場合、
現代風の家の事はよくわからない(これと比べられる物件がない)ため
現代風の家は頭の隅に追いやってしまう。
しかし、コロニアル様式のほうは、
一方の物件のほうが、もう一方よりいいことがはっきりしている。
屋根のちゃんとした家のほうが屋根の壊れた家よりいい。
こうして、屋根のちゃんとしたコロニアル様式がいいという結論に達し
「現代風」も「屋根の修理が必要なコロニアル様式の家」を断って
これに決めるということだ。
本書で、「相対性の原理」と「おとりの効果」して『図』で詳しく説明されています。
冒頭の《エコノミスト》を思い出しましょう。
このマーケティング担当者は、「ウェブ版」と「印刷版」を
私たちが決められないことを知っていた。
そして、選択肢を3つにすれば、「印刷版とウェブ版のセット」を選ぶだろうと踏んだのだ。
私たちは、身の回りのものを常にほかのものとの関係でとらえている。それは、物理的なものーー トースターや、自転車や、犬や、レストランの料理や結婚相手ーーだけに言えることではない。教育や休暇の選択肢の経験にも、感情や態度、ものの見方のような形のないものにも言える。
本書では、「旅行業界」「ブラッドピットとジョージクルーニー」のおいての
それぞれの『相対性』について
そして「給料の相対性」「デートにおける相対性」に関しても、詳しく述べられています。
行動経済学 【 ゼロコストのコスト 】を要約
無料で何かが手に入ると、いい気分になるのは誰でも知っている。実は、値段ゼロは単なる価格ではない。ゼロは、感情のホットボタン、つまり、引き金であり、不合理な興奮の源なのだ。
バレンタインデーのチョコにおまけについてきたぬいぐるみ、
ラジオ局の宣伝用のTシャツ、保険会社が毎年送ってくるカレンダーなど、
私たちは、『無料』というものに弱いです。
ただでもらえるもの、ただのサービス、等など
昔から、「ただより高いものはない」という言葉がありますが、
著者は『無料』という概念について、ある実験しています。
『無料』の力をチョコレートで示す
「リンツのトリュフ」と「ハーシーのキスチョコ」の2種類のチョコを用意する。
リンツのトリュフは、高級カカオで160年間ブレンドしている。
ハーシーのキスチョコは、どこにでもある普通のチョコレート。
(本書で補足として説明)
最初は、
リンツのトリュフは「15¢」、ハーシーのキスチョコは「1¢」に設定する。
テーブルの上に並べ、客に自由に選んでくださいとお願いする。
最初は、
73%がリンツのトリュフを買い、27%がハーシーのキスチョコを買う。
次に、
リンツのトリュフを「14¢」、ハーシーのキスチョコを『無料』にする。
すると、
リンツのトリュフは、31%に減り、ハーシーのキスチョコは69%に増える。
次に、どちらかひとつしか選べないとする。
つまり、トリュフと『無料』のキスチョコの2択にさせる。
すると、
我先にと客は、テーブルの上の『無料』のキスチョコを選択する。
著者は、実験に「かたより」があるのでは思った。
バッグやリュックから「小銭」を出すのが面倒だったかもしれない。
もしくは「お金」を持ち合わせていなかったのかもしれない。
著者は、MITの学生食堂で別の実験をする。
レジの脇にチョコレートを陳列させて、チョコが欲しければ
昼食の代金と一緒に、レジを通る時にいっしょに代金を支払えばいい。
すると、学生たちは
やはり、『無料』の選択肢に殺到した。
たいていの商取引では、良い面と悪い面があるが何かが「無料」になると、私たちは悪い面を忘れさり「無料」であることに感動して、提供されているものを実際よりもずっと価値あるものと思ってしまう。それは、人間が失うことを本質的に恐れるからではないかと思う。「無料」の本当の魅力は、恐れと結びついている。「無料」のものを選べば、目に見えて何かを失う心配がない。
本書では、
Amazon社、AOL社、美術館、クレジットカードにおいての
『無料』に関する詳しい考察が述べられています。
行動経済学 【 性的興奮の影響 】を要約
行動経済学は、性的に興奮している状態での意思決定についても
研究しています。
性的興奮が行動にどんな衝撃を与えるか理解することで、
10代の妊娠や、HIV、エイズの拡散といった、とりわけ難しい社会問題に
取り組む助けになるかもしれない。
と著者は考えている。
実験では、20代の男子学生を対象にする。
「性的にさめた状態」と「性的に興奮している状態」に分ける。
そして、いくつかの「性的嗜好」や「不道徳な行為をする可能性」などの
質問群を学生たちに提示する。
「性的嗜好」などの具体的な質問例は
・女性の靴に性欲をかきたてられますか?
・50歳の女性に性的にひかれる自分を想像できますか?
・嫌いな人との性行為を楽しめると思いますか?
本書では、もっと過激な質問例があります。
今回は、あえて抜粋しました(指摘があれば削除します)
聡明な若い実験協力者たちは、性的に興奮しているときと「さめた状態」のときとで、
大きく違う回答をする。
性的嗜好に関する19の質問を見ると、
実験協力者が性的に興奮している時は、
さまざまなやや変わった性行為をしたくなるだろうという予想が
冷静なときのほぼ2倍(72%増)になっていた。
不道徳な行為に走るだろうという予想が
興奮している時は、冷静なときの2倍以上(136%増)だった。
「コンドーム」に使用に関する質問では、25%増の状態で
コンドームなしで突っ走るという結果が出る。
(この章の最後に29の質問群と回答が記されています)
実験協力者は、
性的興奮が性的嗜好、道徳性、安全なセックスへの取り組みに及ぼす影響を
予想できていなかった。
今回の研究を見るかぎり、異なる感情にある自分を理解する能力の欠如は経験によって解決できる問題ではないようだ。私たちは、性的興奮がいかに超自我を完全に無視するか、感情がどのようにわたしたちの行動を支配するか甘く見てしまう。
と、著者は述べています。
本書のこの章では、
「自動車の安全運転」「安全なセックス」などについても言及されています。
『予想どおりに不合理』まとめ
今回は、特に力をいれて要約してみました。
本書は、翻訳がとても上手で頭の中にスラスラと入ってきます☑️
『行動経済学』を学ぶ人にとって、
敷居が低くそして「とっつきやすい」のではと感じました。
『行動経済学』は、実生活に直接に影響が及びとても興味深い「学問」だと思います。
これに「AI」などを複合的に掛け合わせれば、
非常に「ビジネス」で有利に立てるな、という印象です。
興味を持たれた方は、本書を実際に手に取って読んでみましょう。